下腹部の違和感?それ慢性前立腺炎かもしれません。
2025/09/24
こんにちは。東小金井にのみや腎泌尿器クリニックの二宮直紀です。
今回は骨盤内の痛みや違和感を引き起こす慢性前立腺炎に関してお話します。
慢性前立腺炎(慢性骨盤痛症候群)は、前立腺周辺や骨盤部に長期間にわたる痛みや違和感、排尿症状を引き起こす疾患で、特効薬が確立されていない点が特徴です。
症状・原因
主な症状として、会陰部(肛門と陰嚢の間)、下腹部、腰部、鼠径部などの鈍痛・重だるさ、尿意切迫・頻尿・排尿時痛・残尿感などが挙げられます。また、症状は断続的に現れ、悪化緩解を繰り返すことが多く、生活の質(QOL)が著しく低下する例も少なくありません。
原因は明確にはわかっておらず、以下のような因子が関与すると考えられています:
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尿道からの逆流または前立腺への刺激
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骨盤内・前立腺周囲の血流不良
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前立腺・膀胱や骨盤底筋の収縮・緊張
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自律神経や感覚神経の過敏化
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精神的ストレスや心理的因子
特に非細菌性型では、培養で細菌が検出されないケースが多く、対症療法的アプローチが中心となります。
診断
診断には、まず尿検査で白血球(炎症所見)や細菌培養の有無を調べます。非細菌性前立腺炎の場合は培養が陰性となることが多く、他疾患を除外診断する必要もあります。 必要に応じて超音波で調べることもあります。
治療
慢性前立腺炎の治療は多面的かつ個別対応が基本です。主な治療法は以下の通りです。
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薬物治療
・抗菌薬や生薬:細菌が検出されれば、適切な抗菌薬を数週間~数か月投与。非細菌性例にも経験的に処方されることがあります。
・非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs):痛みや炎症を抑える目的で使用
・α1遮断薬:排尿通過性改善、前立腺への負荷軽減
・神経痛治療薬(プレガバリンなど):神経過敏な痛みを抑える試みもある
・漢方薬:桂枝茯苓丸、八味地黄丸などが使われるケースもあり、日本国内の泌尿器科で併用されることがあります -
生活習慣改善・支持療法
・温浴・坐浴(40℃前後の湯による温熱療法)
・長時間の座位・自転車・バイク乗車の回避(会陰部圧迫軽減)
・適度な運動・ストレッチや骨盤底筋の緩め
・規則正しい生活、睡眠・排便の改善・アルコール・刺激物の制限
・心理的ケア・ストレス管理:心理的因子が悪化因子となることもあるため、認知行動療法や心身医学的治療が併用されることもあります。日本の研究では、心身医学的治療によって症状が改善した例も報告されています。 -
慢性前立腺炎は、“原因が単一ではない”、“症状が多様で個人差が大きい”という性質上、治療も長期戦になりやすい疾患です。患者さんごとの経過や反応を見ながら、薬・生活改善・心理ケアなど複数の戦略を組み合わせてマネジメントしていくことが一般的です。最適な治療方針を立てるためには、泌尿器科専門医への相談が不可欠です。
骨盤内の痛みなどご不安なことがあれば当院へご相談ください。
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東小金井にのみや腎泌尿器クリニック
住所 : 東京都小金井市梶野町5丁目11−5
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電話番号 : 042-385-2211
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